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キーワード能力雑記:【第0回目】~キーワード能力ってなに?~

マジックの楽しさは奥が深い。


マジックはその25年以上の歴史の中から様々な楽しみ方を生んできた。
その中でも公式からたびたび話題として挙げられてきたものとして、ティミー/タミージョニー/ジェニースパイクとい3つの楽しみ方がある。
簡単に言えばティミー/タミーはマジックに楽しく派手な体験を求めるプレイヤー、ジョニー/ジェニーがマジックで自己表現を目指すプレイヤー、スパイクがマジックに困難な挑戦を求める競技思考なプレイヤーと言われている。




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このプレイヤー分類が元ネタの銀枠カードが存在する




しかし、この分類の他にもう1つ軸があるのを知っているかな。
それが、ヴォーソスメルという軸だ。



ヴォーソスはマジックというゲームが紡ぐ膨大な背景世界、ストーリー、カード1つ1つのフレイバーテキストを楽しむ。
対するメルはゲームのメカニズム、ルール、カードとカードの相互作用に強く惹かれる。
この分類方法はマジックの「何を」楽しんでいるのかという美学的分類となる*1



公式をはじめ様々な先人たちがティミー/タミージョニー/ジェニースパイクの視線でカードやゲームについて語ってきた。
同じように熱心なヴォーソスによってマジックというゲームの背景にそびえる世界は語られてきた。


一方でメルの視線に立った記事というものをあまり見たことがない。

ないなら自分で書けばいいばいいのでは?🤔

ということでこれから1つのキーワード能力について丸々1記事使って僕が好き勝手語っていこうと思う。(ここまで前振り)




さて、語っていくにあたってその定義は重要だ。
そもそもキーワード能力とは何かについて確認しておこう。


MTG Wiki*2にはこう書かれている。

キーワード能力/Keyword Abilityは、カードが持つ能力のうち、よく使われるメカニズムなどを短いキーワードでまとめたものを指す。


正直この説明だけ読んでもピンとこない人もいるかもしれない。
それでは以下の3つのうちキーワード能力はどれかを考えてみよう。
少し空白を開けておいたので考えたい人はここで考えてからスクロールしてほしい。

  1. 脱出/Escape
  2. 星座/Constellation
  3. 占術/Scry












答えは決まったかな?











それでは答え合わせをしていこう。


正解は1番の脱出/Escapeだ。


脱出/Escapeは「あなたは、あなたの墓地からこのカードを、これのマナ・コストを支払うのではなく脱出のコストを支払うことで唱えてもよい。」を表している。
キーワード能力の特徴は複雑なルーリングを短い単語でテキストに表現することにある。
つまりカードのテキストに脱出とだけ書くことで細かいルールの説明を書くことなくこのカードが何をするかを定義できると同時に他のテキストに割くスペースを確保することができるんだ。
また、キーワード能力は他のカードから参照したりその能力を与えたりすることができる点も特徴的だ。
これによって「飛行を持つクリーチャーを破壊」「ターン終了時まで速攻を与える」という効果がルール上有効になるんだ。



他のカードに脱出/Escapeを与えるカード





では、残りの2つがなぜキーワード能力ではないのか見ていこう。



2番の星座/Constellationは能力語と呼ばれている。
これはルール上意味を持たないが新メカニズムをわかりやすくするためにつけられたマーカーのようなものだ。
例えば星座を持つカードならそれらはみな「エンチャントが1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、~」という誘発型能力を持っている。
これによってプレイヤーは長々としたテキストを読まなくても「星座」の文字を見るだけでどういったときにこの能力が誘発するか一目でわかるし、誘発したら何が起こるのだろうという部分に集中できる。
また、能力語はテキスト検索をする際にも重宝する。
君がMOやArenaで星座デッキを組もうとしたときやMTG wikiで星座を持つカードを調べたいとき、君は検索ボックスに星座と打ち込めばその一覧を手に入れることができるんだ。



キーワード能力との違いが能力語はゲーム内でその名前を参照することはないということだ。
だから君がオリカ作成が趣味で星座が憎くて憎くて仕方がなかったとしても「星座を持つクリーチャーを破壊する」というテキストは持たせることができないんだ。オリカなんだから細かいことに突っ込むの野暮だって?そうだね







最後に占術/Scryなんだが、これは少しひっかけ問題だったかもしれない。
なぜなら占術が初めて登場したフィフス・ドーンではこれも立派なキーワード能力だったからね。
しかし現在*3ではこれはキーワード処理として扱われている。


キーワード処理は日常的に使うその言葉の意味とは異なるゲーム上特別な意味がある単語の総称だ。
例えば「破壊する」とカードに書かれていた場合、それは実際にそのカードをビリビリに破けという意味ではなく、「パーマネントを戦場から墓地に置く」というゲーム上の意味を持っている。


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君は座っててくれ


占術も「ライブラリーのトップから指定された枚数のカードを見て、それらをライブラリーの上か下に望む順番でおく」というマジック的な意味を持つテキストだ。
ではなぜ占術がキーワード能力として収録されたのか。
それは初めて収録されたフィフス・ドーンではまだキーワード処理という概念がなかったからだ。
未来予知が発売されたときにキーワード処理は制定され、その時に占術は定義しなおされたんだ。


このようにマジックのルールは時代に合わせて何度も改定を繰り返している。
この記事でキーワード能力として紹介したものが数年後には変わっているかもしれない。
知識のアップデートは常に行っていきたいね。






さて、ここまででキーワード能力とそうでないものの確認は終わった。
冒頭でも書いたがこのブログではまずキーワード能力のみを扱った記事を書いていく。
能力語やキーワード処理についてはキーワード能力の記事が終わった後に書ければなあと思っている。
(といってもキーワード能力だけで130種類以上あるからだいぶ先の話になりそうだけど)


また、先に断っておくと僕はジャッジでもないしマジックを始めたのも運命再編からのカジュアルプレイヤーだ。
そのためルール的に勘違いをしている点や過去の話に触れたとき当時の肌感覚とずれた話をしているかもしれない。
そういう点があったら是非コメントで指摘してほしい。




それでは次回から本格的に語っていこう。
記念すべき初回は「俺に触れたら火傷するぜ?」なあの能力だ。


その日まで、あなたがメカニズムの美しさに魅了されますように。

*1:マロ―によるヴォーソスとメルの解説 mtg-jp.com

*2:キーワード能力 mtgwiki.com

*3:2020/03/01